祝・
スメルズ・ライク・グランジ・スピリッツ!!mF編開催!!
(詳細は
こちらで)
・・・ということで、
前回に引き続き、グランジな事を書かせていただきます。
今回のテーマは、タイトル通り「亜流」。というか、亜流または産業とされてしまった奴らの
話。ブームが起きれば、追従者が現れる。これは避けようの無い事実ですよね。もちろん
グランジも例外ではない。その中でも、グランジの発祥地アメリカ以外の国から出てきた、
グランジとされていたバンドを今回は紹介したいと思います。
まずはイギリス編。そのバンドの名は
BUSH。はっきり言って、
雑誌等でもあまりいい評判を聞いたことがありませんねえ。デビューアルバムをリリース
したのが、1994年。カートが自殺して、ブームとしてのグランジは沈静化しつつあった。
どこのBON・JOVIだとか思われるかもしれませんが、BUSHのフロントマン、
Gavin Rossdaleであります。現在はバンドは解散。ギャヴィンはむしろ今となっては、
ノーダウトのセレブなボーカリスト、グウェンの夫としての方が有名かもしれませんね。
まあそれは置いておいて、デビューアルバムとなった「
Sixteen Stone」が爆発的に
大ヒット。まあアメリカでだけど。ブームが下火になったとはいえ、グランジ的な音はまだ
売れた。ギャヴィンのスター性もあいまって、BUSHは一躍トップスターの仲間入り。
でも、本国イギリスでは冷遇されていたみたい。当時はブリットポップ全盛期だったのも
関係しているだろう。

「
Sixteen Stone」
1STの大ヒットをうけて、リリースされたセカンドアルバムが「
Razorblade Suitcase」。
そして、誰もが驚いた鬼才スティーヴ・アルビニの起用。まさに異例の組み合わせ。
アルビニは徹底したインディー一徹・頑固オヤジだし、産業だなんだと批判されたBUSHと
組むなんて、当時の人間は誰も予想しなかったのではないだろうか。

「
Razorblade Suitcase」
個人的な感想ですが、このセカンドは素晴らしい作品だと思う。別にアルビニどうのじゃ
ない。UK的な物悲しいメロディーとUS的グランジが上手く融合している。特に、「
Swallowed」
の美しさは突出している。誤解を恐れずに言えば、この曲を聴くだけでも価値がある。
その後、2枚アルバムをリリースするも失速。そして解散。時代の徒花だった、と評価して
しまえばそれまでだが、聴くべきところは多々あると思う。今やアメリカ的なスクリーモや
へヴィーな音を、イギリス人が独自に解釈して音楽を作っていく時代。やっぱりヒットする
ってことは、何らかの魅力があるからに他ならないと思うのです。

続いて、オーストラリア産の
SILVERCHAIRをご紹介。
これまたどこのビジュアル系(フロントだけ)かと思われるかもしれませんが、デビュー当時
はもっと、朴訥な感じでした。こうやって軽いゴスメイクするファッションは、今のパンクや
スクリーモ系のバンドに多大な影響を与えているようですね。
1995年に、まだ若干15~16歳でデビューした当時は、恐るべき子供達とか言われて
ました。ファーストアルバム「
FROGSTOMP」は300万枚近くの売り上げを
達成し、アメリカで爆発的人気を得ることになる。

「
FROGSTOMP」
前述したBUSHと比べるとすれば、よりシルバーチェアーは重い音を出していた。NIRVANA
というよりは、アリスインチェインズやサウンドガーデン。またはサバスのような、
ヘヴィーロック。当時は売れた反面、やはり幼稚だなんだと批判もされた。
続けてリリースしたのが、「
Freak Show」。音楽性の幅を広げた力作。

「
Freak Show」
これが前作ほどのセールスに及ばなかったせいもあってか、彼らに対する風当たりは
より強まったような気がする。だが、ここからが他の亜流グランジとは違うところ。
彼らは地元オーストラリアでは絶大的な人気があり(現在も)、アメリカでの受けが悪く
なっても、びくともしない基盤を築いていたのだ。99年リリースしたサードアルバムでは
ヨーロッパで高い評価を得て、02年にリリースされた「
Diorama」は、何とあの
U2のボノも絶賛。PVにもなった「WITHOUT YOU」のスケールはマジでいい。凄まじい
エモーショナル度に圧倒させられる。しかしフロントマンのDaniel Johnsが病気を患い、
活動停止状態に。しかし今年に入って、ライブ再開とニューアルバムの情報が入って
きました! グッドシャーロットなどの若手パンク系にも尊敬されている彼ら。日本にも
いつか来日して欲しいですね。だいたいこれだけのキャリアなのに、まだ26とかそこら
なのだから(何気に自分と同じ1979年生まれらしいが)。
そんなわけで、個人的思い入れでこの二バンドについて書かせて頂きました。あの頃を
知らない、というか先入観の無い若いリスナーの方々、よかったらチェックしてみて下さい。
音楽の価値は、ごく個人的なもののはず。メディアが作ったレッテルも、「産業ロックだろ」
とうそぶく人たちの意見も、あくまで他人の価値観でしかないのだから。
(文責・某アルバイト)